■EV(電気自動車)の基本的な仕組み

EVは、ガソリンやディーゼルエンジンを搭載した自動車に比べて部品点数が少なく、構造がシンプルで、車両の小型化も容易です。一方、走行性能や航続距離はバッテリの性能に大きく依存します。


■バッテリが抱えている問題 ※故障原因第1位!セルバランスの崩れ

使用開始時には全てのセルが満容量でも、バッテリ切れが検知された時、放電速度に差があるので、まだ容量が残っているセルがたくさんあります。そして充電を行うのですが、今度は容量が一番残っているセルが満容量になり、強制的に充電がストップするので、セルごとにバラツキが生じ、実際に使える容量が少なくなります。

※結果、EVの航続距離は減り、電動工具などは製品寿命が縮み、最悪の場合は動かなくなります!


■EV(電気自動車)に搭載されているセルバランス機能

セルバランスの崩れに対応するため、EVにはセルバランス機能が搭載されています。アクティブ方式では、電圧の高い電池セルから低い電池セルに電荷を移動することで均一化を図り、パッシブ方式では一定の電圧を超えた電池セルに対して放電を行うことで均一化を図ります。


■アンバランスのない電池パックを作る①

EVにはセルバランス機能が搭載されていますが、アクティブ方式は回路が複雑になりコストアップしますし、パッシブ方式では、せっかく充電したエネルギーを放電しなければなりません。そこで、このような本末転倒を避けるため、弊社では、アンバランスのない電池パックを作るための方法を検討すべきと考えました。


■アンバランスのない電池パックを作る②

電池セルには個体差があって、満容量、あるいはバッテリ切れが検知されたときの容量に差があります。それは100mを走るランナーと同じで、いくらセルバランス機能によりアンバランスをなくしても、ランナー(電池セルの個体差)が変わらなければ結果は変わりません。逆に、FINISHに到達する時間を元に、A・B・C・Dの4つのグループに分けて電池パック化すれば、アンバランスは最小限となり、EVの航続距離は必然的に延びます。


■新しい二次電池試験装置・システムの4つの強み

前述の「アンバランスのない電池パックを作る」機能に加えて、新しい二次電池試験装置・システムには、従来の電池検査装置が標準で装備している機能を改善した"3つの強み"をもっています。※特許第7351053号


■装置コストと運転コストを削減する

1)直列接続で、CC-CV(定電流-定電圧)充放電を可能にします。

2)電源の台数とケーブルの本数が大幅に削減、それに伴う作業工数も大幅に削減できます。

3)そして何より、電力使用量が大幅に減りますので、それに伴う運転コストもあわせて削減できます。


■製品の品質が向上する

1)従来の方法は、電源コントローラ→充放電電源→制御基板→複数の電池の経路で電流Iを流し、同じ経路で電圧Vをモニタしているため、電源ノイズの影響で電圧Vの値が不安定になります。

2)新しい方法では、電源コントローラから電圧モニタ機能だけ分離して、違う経路で電流Iと電圧Vをモニタするので、電源ノイズの影響を受けない、安定した電流・電圧値を取得できるように改善します。


■安全に(正確な)検査が行える

1)今回の特許出願に当たり、事前調査を行った結果、当事業所と同じく「直列充放電方式」を採用しているメーカは数社いましたが、電池①が目的の電圧に到達するまでは電流Iを流し、目的の電圧に到達したらバイパス回路を使って、次の電池②に電流Iを流す(バイパスする)という方式でした。

2)しかし、この「バイパス回路方式」では、CV(定電圧)を維持するのが難しく、RL(リレー)をOFFからONに切り替えると、入力側から出力側に短時間に大電流が流れ、RLの入力側では段階的に電圧低下が生じるので、正確な電池電圧を得ることができません。

※当事業所は「バイパス回路方式」を使用しません!

3)充電用保護回路は、電池が目的の電圧を上回った場合に機能し、電圧値は正常な値にリセットされます。

4)放電用保護回路は、電池が目的の電圧を下回った場合に機能し、電圧値は正常な値にリセットされます。